個人で事業を営まれている方で、必ず検討事項にあげられるのは、法人転換すべきか、否かではないでしょうか。
そのような場合、「会社設立は面倒だ」「会社設立のメリットが不明」という理由から、二の足を踏んでいる方も少なくないかと思います。
以下では会社の設立によるメリットやデメリット等について簡単にご紹介いたします。
1.税率構造の差異
個人事業主の場合は、所得が増えるほど税率が高くなるという累進課税構造となっていますが、会社の場合には税率が一定です。よって、課税所得が一定以上の場合には会社を設立した方が節税上、有利になります。
2. メリットの具体例
個人事業主は、自分に対してお給料は払えません。(利益がそのまま自分の給料みたいなもの) しかし会社の経営者は、会社から役員報酬という形でお金を受け取ることができます。この役員報酬は会社の経費となりますし、さらに『給与所得控除』という税制上の特典も受けることができます。
例えば・・・
▲節税例
なお、平成17年度の税制改正により、平成18年4月以降に開始する事業年度については、一定の条件の下で、この「給与所得控除の特典」が廃止されることになりました。
詳細については、当事務所までお気軽に御相談下さい。
3. 生命保険の活用
経営者にかけた一定の生命保険の掛け金が費用となります。もし万が一に経営者が死亡した場合、保険金は法人の収入となりますので、会社の運営資金や死亡退職金の支給資金として使うことができます。
4. 退職金の活用
個人事業主の場合、退職金の支給は必要経費として認められませんが、法人の場合その金額が適正であれば経費として認められます。退職所得は他の所得に比べ税務上の特典も大きく、節税対策として非常に有効です。
5. 赤字を繰越できる期間が長い
事業が赤字だった場合には、その赤字分(税務上の赤字分)を繰り越して将来の利益と相殺できるので、その結果、将来の節税にもつながります。
この繰越期間は、個人事業主が3年であるのに対し、法人については7年間認められています。世間一般的にはイメージの悪い赤字決算も、法人にはこのようなメリットがあるのです。
※適用を受けるためには青色申告が必要条件となります。
6.その他
などといった節税方法があります。
一般的に会社を設立すると社会的信用が高まります。
社会的信用が高まることにより、以下のようなメリットが考えられます。
▲社会的信用の波及効果・例
社会的信用は事業を行う上でとても重要であり、これを高めることは業務の拡大や経営の安定化につながります。
個人事業主の場合は、家計と経費を同じ会計から出しているケースが多く、正確な会計処理が妨げられます。
これに対し会社は法律上、別個の人格(法人格)として扱われますので家計との経費の分離が求められます。このため、経理が明確になり、健全かつ正確な事業運営が可能となります。
個人事業主は債務について無限に責任を負いますが、会社の場合、債務に対する責任は出資額に限定されます。このため、万が一経営に失敗した場合のリスク回避の負担が少なくなります。
※ただし、借入等の際に個人補償を求められる場合は、当該債務に対する責任は増大します。
上記1~4のメリットに通ずるのですが、事業拡大を個人事業主のままで進めていくのには、『社会的信用面』『資金繰り』『経理面』『税理面』などからおのずと限界があります。
よって、事業拡大を目指す上で法人設立は必須といえるでしょう。
会社設立はメリットばかりではなく、デメリットもありますので、以下にまとめました。
会社の定款の作成、公証人の認証、登記申請などを行わなければならず、その手間と費用がかかります。
会社では、定期的な役員変更の登記や、重要な意思決定については株主総会や取締役会の決議が必要となります。
個人事業主の場合は簡便的な経理方法も認められていますが、会社の場合には『複式簿記』という正確な経理が求められます。しかし、これは事業運営を行う上では大切なことであり、事業活動を正確に把握する上で、必要不可欠なことでもあります。
これまで株式会社を設立するにあたっては最低1,000万円(有限会社では300万円)の資本金が必要でした。しかし、2006年5月施行の新会社法により、これまでの最低資本金制度が撤廃され、0円から会社を設立することが可能となりました。(加えて、新たに有限会社を設立することは不可能となりました)
しかも、これまで複雑だった株式会社の仕組みもかなり簡素化されました。